あのバスを追いかけろ!

タクシードライバーで、経験したいことの一番は

刑事ドラマでよくある、「前のタクシーを追いかけろ」。

今日は、似たようなことがあった。

普通は、お客様を乗せることがない場所で、お客様を乗せた。

タクシープールに入る際、プールが満タンの時

プールに入る順路の先を見るために

一時的に止まる場所で、お客様に乗り込まれた。

それも、ちょっと怖い方で、組長と子分という感じ。

今は、22時25分で、22時30分のバスに乗るから

駅の反対口に行くように言われた。

「間に合うよなっ!」と、念を押された。

「いや、いや、いや、いや、間に合わないっすよ」と回答。

何のバスに乗るのかも、どこから乗るのかも、不明。

コンビニで、チケットを買うように言われたらしい。

そのチェーン店は、思いつくだけで、何軒もある。

走りながら、スマホで検索。

分かった頃に、その店が目に入った。

そして、その前に止っているバスも。

ちょうど、そのバスが走り出した。

「あのバスを追いかけろ!」と、命令された。

行き先は、「京都、大阪」と書いてある。

どこまで行くのか聞くと、大阪らしい。

一瞬、大阪に行けるのかと…

しばらく走って、右折レーンで止まったバスに

子分の方が降りて行って、交渉し始めたようだ。

交渉決裂で、不機嫌そうに戻ってきた。

「次の停留所は、東京だと」と。

東京駅に先回りして、チケットを買えば乗れるらしい。

東京駅まで行けるのかと期待したが

親分が「西口に戻れ」と言って、「しゅん」となった。

メーターを止めろ、と言われていたので

これだけ時間がかかって、2000円にもならない。

西口に戻って、支払いの時に気が変わったらしく

「〇〇に行って」と。

駅の近くに、auショップがあると言われて

また、スマホで調べながら、走行。

何とか見つかって、その近くのお送り先まで、行けた。

事なきを得たが、子分の方がタバコを吸っていたので

帰りは、窓全開のまま。

禁煙車のはずだけど、今時、吸って良いかどうか

聞く人もいないから、その教育は受けていない。

→かなり貴重な体験をした。